大衆心理について
一日の値動きの中で、値動きが大きくなったり、その後の動きの流れが明確になったりあるいは変わったりする可能性のある注意すべき時間帯というものがあります。
先ず最初が、東京マーケットの始まる1時間前の8時そして株式市場の開く9時、仲値の決まる9時55分頃、株式市場が閉まる前の14時30分頃、そしてクローズする15時などです。
そしてもっとも注意すべきなのが、夏時間と冬時間で1時間ずれますが、それまでの流れと逆方向に変わったり値動きが大きくなりやすい時間帯、ヨーロッパの市場が動き出す16時前後と、アメリカ市場が動き出す22時前後です。
なぜそうなるかと聞かれれば、市場参加者が変わるからです。
初心者の方は為替相場は、各国の経済状況や実際の需要と供給のバランスを表すと勘違いされている方もいると思いますが、実際相場を動かしているのは参加している投資家の人間心理です。
チャートは大衆心理を表しています。
参加する人が変われば、値動きも変わるのは当然のことです。
重要経済指標の発表等で相場が大きく動くのは、その結果を見た市場参加者の心理が動くからです。
ただ、重要指標発表直後の上下に大きくぶれる値動きは、大衆心理とは関係ありません。
これは事前に設定された条件に沿って売買注文を自動的に出す、コンピューターによる自動売買による値動きで、そこで一旦流れが途切れるため、私はその前後は取引しませんし監視も無意味なのでしていません。
長期・短期・分速トレードの項でも書いていますが、長期的に見れば為替は必ず各国の政策、特にアメリカの金融政策要因に即した動きになりますが、日々の値動きはその日に参加している市場参加者の心理によって動くものです。
例えば、ある時と全く同じ価格、値動きで推移していたとします。
それではその後の値動きが、その時はこういう動きだったから今回も同じ動きになるかというとそうとは限りません。
なぜなら、その時の相場環境によって、参加者の心理状態が違えば、値動きも違ってくるからです。
私が自分勝手な思い込みはするなとか、場の空気を読めと言っているのはそういう理由からです。
よくテクニカル分析において、教科書通りの値動きにならない事を”ダマシ”と言っていますが、別に資金力のある誰かの大きな力で、あなたを騙すためにそういう値動きを作っている訳ではありません。
勉強して知識は十分あるはずなのに、もし今上手くいっていない方は、頭でっかちに小難しいテクニカル分析理論のポイント探しばかりに意識が偏っていませんか?
そういうテクニカル理論も、すべて大衆心理を探るための手段に過ぎません。
値動きを追うだけではなく、その値動きを見て大衆心理がどう変わるのかを考えるようにすると、同じチャートを見ていても見えてくる世界が違ってきます。
一番分かりやすいのが、マイナスのポジションを持っている人の心理を考える事です。
自分が、相場が動いている方向と逆のポジションを持っていると思ってみてください。
そうすればなぜ急落した後にリバウンドと呼ばれる戻りがあるのか、逆にじりじり下げるときはなかなか止まらずにいつまでも下げ続けるのか分かってくると思います。
勝っている投資家の考えている事は意外にシンプルです。
今後上に行くか下に行くか二つに一つなのですから。
そして1番安全なのが値動きの初動に乗ることなんです。
何故リバウンドするのか
急落した後になぜリバウンドするのでしょうか?
それは、急落により下げた価格帯には上値に新たにできる売りの板が少ないという事情と共に、急落により、大きな利益を得た売りポジション所持者が利益を確定するために買い注文を出すと、板が少ないために少しの買い注文でも値段が跳ね上がるという事情があります。
それでは、どのポイントでリバウンドが発生するのでしょうか?
答えは、何度トライしても、安値を更新できずに戻され、戻る度にまた下げに転じてきたポイントを上抜けて行った時突然上昇に勢いが付きリバウンドが発生します。
そして、勢いが止まったらまた売られますが、安値より少し手前で再上昇し、更に戻りの高値を抜いて行くと更に上昇に勢いが付いて行きます。
この間、僅か数十分の間にトレード参加者の心理が大きく変わっていくんです。
大衆心理は、値動き一つで簡単に変わると書いたのもこういう値動きがそれを証明しています。
いかねーのかよの売り
私が ”いかねーのかよの売り” と呼んでいる大衆心理について解説します。
これは流れを作るような動きではありませんから無視していいと言えばいいのですが、分かっているのといないのとでは収益に違いが出てきます。
例えばある節目となる価格帯付近に到達した場合、ここを抜けてくると流れが鮮明になり、その後値動きが加速して大きく取れると期待して待っている投資家は多数います。
しかし、2度3度トライしてもなかなか抜けずに逆に徐々に下がるような値動きとなった場合、なんだいかねーのかよと一斉に利益確定の売りが出て大きく下がることがあります。
この現象を、私はいかねーのかよの売りと呼んでいます。
こういう時の売りは一時的なものなので、短い時間で止まるため流れの変化にはならず時間がたてば戻ることが多いです。
そしていかねーのかよの売りで目先の売りをこなすと、一定のアイドリング時間を経過した後に、あっさりと節目の価格帯を抜いていったりします。
それを見たいかねーのかよの売りを出した人たちは、なんだ行くんじゃねーかよとだったらさっき行っとけよと思っていることでしょう。
ここまで分かりやすく”売り”と表現していますが、売りも買いも同じことなんです。
初心者の方で、買いは出来るけど売りが苦手という方がいますが、その出来る買いは円ドルで見ると売りなんですよ。
分かりやすい買いでとれるような値動きの時のチャートを、モニターをさかさまにして見てください。
売りも買いも同じ値動きで考えられる事が分かると思います。