回顧2010




 今年もあっという間だったが、振り返ってみると波乱に富んだ一年だった。
 年末年始はゆっくり過ごそうと思う。

 映画は「母なる証明」が圧倒的だった。
 今年は自作にかかりきりだったので、家ではほとんど見ていないが、昨年よりも充実したベスト10が選べたと思う。
 スコリモフスキはBSで特集放映が組まれ、ありがたく録画してまだ全部見ていないが、「早春」は傑作だった。「アンナ」よりもはるかに面白いが、「アンナ」の方に花を持たせた。
 技術賞を与えるとしたら、撮影賞を「ウルフマン」に、メーキャップ賞を「瞳の奥の秘密」に。また、「トロン:レガシー」はデジタル・メーキャップ賞というところだろうか。
 「ヒーローショー」より今年もっとも印象に残ったセリフ。「おまえの一番大事なものは?」「命!」。皮肉ではなくストレートに。
 サム・ライミの「スペル」は、奇遇にもその前に見た「名もなく貧しく美しく」とそっくりの展開だった。
 成瀬巳喜男「女の歴史」の焼け跡闇市の描写は凄かった。しかもそれが当たり前のように出てくるからすごい。いや、ふと去年の「ヴィヨンの妻」を思い出して。現在の日本映画の大作は50年代の日本映画の最低予算映画とどっこいかそれ以下なのだろう。どうでもいいけど、「秋立ちぬ」も素晴らしくよかった。
 「ハルヒ」は映画を見た後でテレビシリーズも録画と、足りない巻は借りてきて全部見たが、テレビ版の魅力ったらなかった。振り返って、映画で主人公が述懐するシーンをしみじみ思い返したりした。
 個人賞を与えるとしたら、助演女優賞に宮崎あおい。ただし「カラフル」の声優として。「カラフル」は奇遇にも田園都市線ファンを満足させる映画でもあった。いまの時代を肯定するセリフが新鮮。
 「ノルウェイの森」は原作の面白さに遠く及ばなかった。今年も『1Q84』が読めなかったのが心残りだが(図書館のリクエスト待ちの順番がようやくあと38番と迫ってきた。始めは800番台だった)、思えば「ノルウェイの森」を読んだのも、発売後15年経ってからだから。
 その代わりというわけではないが、春樹訳の『ロング・グッドバイ』を読んだが、大変に面白かった(旧訳は読んでいない)。これはやはりロバート・アルトマンが映画にしているが、それも傑作だった(「やはり」というのは、村上春樹が深く関わったカーヴァーの小説も映画にしているから(「ショート・カッツ」)。奇遇にも両方レイモンドという名前だ)。
 






2010候補作およびベストテン発表!



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